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Black and White 村上春樹小説についての小考察

愛と憎しみ、生と死、永遠と刹那。

こういったよく見る言い回しは、決してただ対義語を並べているだけではありません。
多くの場合に憎しみは愛によって引き起こされますし、
生がその意義を際立たせるのは死に対する時が最も顕著であることがしばしばですし、
永遠の全ては刹那のうちに含まれていると言う事もできます。

つまり、これらの言い方はそれぞれの価値の二重性を端的に描き出しているように私には感じられます。

このような二重性を持つ価値は何も上に挙げた例だけにとどまりません。
そういった様々な価値の持つ二重性をよくよく考えていってみれば、ある物事を表現する時、その表現としての価値は非常に複雑な多重性をもって描かれうることに思い至ります。
そしてそれらの重なり合った意味たちを全て同等に扱おうとするならば、まるで絵の下手な人が次々に絵の具を重ねてキャンバスを真っ黒にしてしまうように、もしくは様々な色の光が重なってついには白色になるように、その表現からは意味という名の価値が失われてしまうのです。

何かを表現する時、重要なことは「切断する」ことと「結合する」ことにある、と、いつかの授業で聞いたのをとてもよく覚えています。
私にはそのうちで「切断する」ことが非常に苦手だという自覚があります。
私の表現は、いつも余計なものまで全部を「結合して」しまったような文章です。
しっかりと重要な部分を「切断して」提示することができないから、どうも言いたいことが伝わらないのです。

ところで、この方法論で考えると、村上春樹の文章の持つ独特な魅力の一端が理解できるように思えます。
村上春樹の文章はほぼ完全に「結合された」表現で成り立っているように思います。
それゆえ小説中には様々なダブルミーニングの表現が登場しますし、
なにより文章から受けるあのなんともいえない清潔というか、無機質な感触、
あれは「結合された」表現におけるモノクロ化の結果のように私には感じられます。
それでは、村上春樹の文章は無意味な駄文だらけだ、ということかというと、そういうわけではありません。
村上春樹の文章は、そのモノクロの世界から、正確に幾つかの意味を「切断して」取り除いて表現を構築しています。
こういった方法は、まず必要な意味だけを「切断し」、その後にそれを「結合して」書かれる、簡明で力強い文章とは違った魅力を持っています。
それが、村上春樹の文章の持つ透かし彫りのような独特の魅力の源泉だと思うのです。
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