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檸檬のころ レビュー

今回は久々に小説のレビューをやってみようかと思います。

 檸檬のころ/豊島ミホ 幻冬舎文庫

久しぶりに青臭すぎるほどの青春小説が読みたくなって手にとってみた本作、大当たりでした。
だいたい、こういった目的をもって青春小説を買うと、文章の読み心地だったり、主人公のキャラクターだったりで全く感情移入できずに途中で投げ出してしまうことの方が多いのですが、この小説は、最初の数ページを読んだ時点で大丈夫だと確信していました。

だって、私はこの情景を、感情を 「知っている」。

舞台は寂れた田舎の何の変哲も無い高校。
そこの中で、もしくは周りで、ごく普通の日常を送っている人々の姿が、想いが、連作の短編の中で描かれていきます。

あるのはありがちな小さなドラマだけで、ハラハラするような大スペクタクルも涙を誘う悲劇も無い。
それでも、いえ、むしろそれゆえに、この小説は私の心をとても惹きつけてくれました。
どんなに普通に見える人生の中にも確かにある、きらきらと世界が輝いて見えるような瞬間を、この小説は見事に掬い上げています。
それは恋愛の一場面だったり、友情劇の一場面だったり、はたまた、過去の記憶のフラッシュバックだったり。

この小説は、全編通じて現在の一人称視点で書かれています。
ですが、ところどころ挿入される風景描写は、感情のあり方と溶け合っていて、さながら回想をしながら書いているように私には感じられるのです。
それは、私の中で、時間を経て残された記憶は、生々しい感情を失い、それらは記憶の情景の中に光や影としてひっそりと刻み込まれているからです。
そうしてこの小説の描き出す情景は、私が青春時代に抱く郷愁を、強く強く揺さぶったのだと思います。

また、この小説のおもしろさは『短編連作』というところにもあります。
それぞれの短編の登場人物が別の短編にも登場するという仕掛けは連作の短編にはよくあるものだと思いますが、この作品ではその仕掛けを上手く使うことによって、小説の舞台である『北高』を非常に立体的に、リアリティを持たせて浮かび上がらせることに成功しています。
私は読みながら、主人公以外の生徒たちに溢れた、『開かれた』小説世界を自然と楽しんでいました。
こうして、描かれない部分まで世界の広がる小説というのは、やはりとても魅力的な作品の一つの重要な要素なのでしょう。

久々に出会えた傑作青春小説、おすすめです。
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ずっと読みたいと思ってた!!
今度貸してください☆

豊島ミホさんの文章すごい好き。

了解です。
今度連絡くれたらがっこ持ってきます。

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