日々思うことを、気まぐれに書き記しております・・・。         また、旅行記も書いたりしています。どうぞお楽しみください。

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愛の幻想とあなたのはんぶん

 あるふかいふかい森のおく
 ひとりの魔女がひっそりと、誰にも会わずに暮らしていました。

 ある朝、魔女が泉に水をくみに行くと、
 そこには、傷ついた一人の兵士が倒れていました。

 「どうしたのですか?」
 「だいじょうぶですか?」
 なんども魔女はくりかえします。
 けれども兵士は、少しも返事を返しません。

 心配になった魔女は、
 男を家へ連れて行き、看病することにしました。

 魔女のねっしんな看病と、「ちゆ」の魔法のおかげで、
 やがて男は目をさまします。

 「ここはどこ?」男はたずねます。
 「私の家よ。あなたは近くの泉で倒れていたの」
  魔女は少しはずかしそうに答えます。
 「助けてくれてありがとう」
  男は心から感謝して言いました。
 「おれいに少しのあいだ、ここでお手伝いをさせてくれませんか?
  力仕事ぐらいしかできませんが、おんがえしがしたいのです」
 最初、魔女は突然の申し出にとまどいましたが、
 男の真剣で、まっすぐな目を見て、お願いすることにしたのです。

 こうして、森のおくでのふたりのくらしが始まりました。

 男はまいにち、みずくみやまきわり、くさむしりなど、
 朝から晩まで、せっせせっせと働きます。
 
 いっぽう魔女は、ひるまはねっしんに魔法のけんきゅうをし、
 夜にはとびきりおいしいごはんをつくって男の労をねぎらいます。

 そんな日々のなか、
 魔女のすこしかげりをもった美しい横顔や、透き通るような白い肌、
 きぬいとのようなさらさらした長いかみに
 男は見とれてしまうことが多くなってきました。
 そう、男はしだいに、
 魔女にこいごころを抱くようになっていったのでした。

 魔女のほうでもそれはおなじことで、
 はじめてみるわかい男のたくましさに、
 魔女は日々こいごころをつのらせていくのでした。

 そしてある日の夕食のとき、ついに男はきりだします。

 「ぼくはどうやらあなたに恋をしてしまったようです。
  もしよかったら、
  これからもぼくといっしょに暮らしてくれませんか?」
  魔女は笑顔で答えます。
 「よろこんで!
  私もあなたにそうおねがいしようとおもっていたところだったの」

 こうしておたがいのきもちを確かめあったふたりは、
 ささやかだけれどもしあわせな日々をかさね、
 日に日に愛を深めていくのでした。

 そんな日々がずっとつづくように思われたある日、
 魔女はとつぜんしんけんな顔で男にたずねます。

 「ねぇ、あなた。ひとつおねがいがあるの」
 「なんだい?言ってごらん」
  魔女のただならぬようすをいぶかしく思いながら、
  男はたずねます。
 
 そして、魔女はこういいました。

 「あなたのはんぶんをわたしにください」

 「かわりにわたしのはんぶんをあなたにあげます」

 「わたしの魔法で、それができるの」

 「わたしはあなたで、あなたはわたしになる」

 「そうすれば、わたしたちはいつでもひとつ」

 「おねがい、わたしはさみしいの」




 あまりのことにおどろいた男は、
 とっさに走ってにげだしてしまいます。

 そして、気がついたときには
 男は森の外にまで出てきていたのでした。

 そのあと、いくらさがしてみても、魔女の家はみつかりません。
 
 もう二度といとしい魔女に会えないことを知った男は、
 ふかいふかいかなしみの底で
 「じぶんのはんぶん」を失くしたようなくるしみを味わうのでした…
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コメント一覧

ぃぃ話。
(この話の意図とはちがうかもしれないけど)
女ってある程度ヒステリカルだから、ときどき男の子がびっくりするようなお願いとか、男の子が理解できない理由のない癇癪とか起こす、きがします。
そして、困ったことに、ヒステリカルなものであればあるほど、拒否された時のショックが大きいのです。

そういっていただけるとありがたい‥!
勉強になるコメントをありがとうww
そうすると、単なる癇癪のなかにも、なにかしらその人の「本質」(あくまでカッコ入りですが)に根ざすものがあるかもですね。もしそうだとしたら、それはそれは難しい問題ですね。理解しにくい行動の中にこそその人のこころ(感情?)を動かす要因が豊富だとしたら、それはなんとやっかいなことか‥。
まぁ、逆に私たちが相手を自分の理解したいようにしか理解していないだけかもしれませんが。

うむ

>私たちが相手を自分の理解したいようにしか理解していないだけかもしれませんが。

そこですよね、まさに。結局のところ自分が相手に対して持つイメージとか今まで一緒にいた時間といったフィルターを通してしか、相手を見れないんじゃないか、そう思ってしまうんですんね。本当のところを理解できずに理解できた気になって、自分の予期したところと違った行動をされると裏切られた気になって滅入って。。自分勝手なもんだ。

と真面目になってしまったww

>kenken-pa
真面目なとこはじめて見たwwww
まさに言おうとしたのはそのことです。
だからあたまの中にうわごとみたいにくりかえされる
「あなたのはんぶんをわたしにください」

↑3人ともすごいね。
あたしには理解できんかった。

表層では上手に振舞って、それなりに楽しんで、
でも深いところに立ち入って、自ら傷つく勇気はない。

そんな誰もが持つ弱さ??
おとなのための創作童話。


最近ご無沙汰してますが、お元気でしょうか??

ご無沙汰です

コメントありがとう!
私は元気にやってますよ。
そのうちまたゆっくり話でもしましょう。

「おとなのための」か‥。
そうだよね、こんな気持ち、たぶん小さい頃には感じなかった。

理解できなかったって、michonが言うのは、
きっとこんな言葉は今のmichonには必要ないから。
それは、それで、きっといいこと。

これは琢の自作?

これ、言われたらマジで怖いね。
20代後半とかになってくると「あなたの半分」が「結婚」に置き換わって読めてリアリティーが増しそうな・・・

ポロポーズのタイミングって難しいんだろうな、と変な感想を持ってしまった俺は正直病んでます。今度久しぶりにゆっくり話そう。

>m's friend
一応自作だよー。
話のあらすじ自体はあまりにありがちだから、「一応」自作。

なるほど、それは俺も予期しなかった解釈だぁ。
でも、わりと核心を突いてるかも。

問題は、
これを言われて、なぜ「怖い」と感じるのか。

きっと、「あなたのはんぶん」はわたしではないから。
それなら、どうして愛する人と一つになりたがったりなんてするのかな?
きっとそれは間違ったことではないのかもしれないけど、
身勝手で無責任な気持ちでもあるはず。

風邪が治ったみたいでよかったよ。またゆっくり話そう。

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