日々思うことを、気まぐれに書き記しております・・・。         また、旅行記も書いたりしています。どうぞお楽しみください。

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演劇って面白い!!

12月16日土曜日に、初めて舞台というものを見に行ってきました。
見てきたものは、現在渋谷東急文化村で上演中の、野田地図『ロープ』
正直見に行く前は、藤原達也が見たいから見に行くー!程度の気持ちでしたが、劇場から出てきた後は、ほんとにいい作品を見れた、という気持ちでいっぱいでした。
素直に一つの芸術作品として、これほどメッセージを有効に伝えることができている作品にはなかなか出会えないように思います。(それとも、舞台ってものはそれもこんなにすごいのか?)これから、もっとたくさん舞台を見てみたい!そう思った夜でした。


以下、レビューと感想です。これから見に行く方は読み飛ばしてください。
(この作品は、下手な事前知識なしに見に行くことを強くお奨めします)

作品の序盤では、藤原達也演じる引きこもりレスラー(ノブナガ)とその所属する弱小プロレス団体の面々との掛け合いを軸にした、コミカルな場面が展開されていきます。そのため私は、その喜劇的キャラクター達の織り成すゆるゆるの世界に、全くの無防備で入り込んでいきました。
そういった場面がしばらく続いた後、ノブナガが八百長試合を相手レスラーを半殺しにして台無しにしてしまうことから、作品は新たな展開を見せていきます。
以降、暴力の過激化を軸として、今までのプロレスにまつわる喜劇的世界が、戦場における殺し合いの現場へと変化していきます。
例えば、プロレスの、「マンガのような現実感の薄さ」「何でもありであること」「八百長のストーリー」は暴力の激化、理性の喪失という過程を経て、戦争の「非現実性」「超法規性」「大義名分」へと変換されます。
この過程は、さりげない台詞の中にいくつもちりばめられていた伏線を後半でどんどんと回収していくことや、大小含めた数多くの比喩的つながりを利用するなどして、前半の喜劇的文法をそのまま利用しながらスムーズかつ強力に進んでいくので、私はいつの間にか無防備な喜劇の傍観者のまま、クライマックスシーンのベトナムの戦場のど真ん中に取り残されていました。
そこでは、たった四日間で「ミライ」という名の村の住人が皆殺しにされていく一部始終が、まざまざと克明に私達の前に実況中継されます。「覆面レスラー」は「無名の被害者」に変換され、次々に撃たれ、犯され、焼かれ、殺されていく。その行為の一つ一つがプロレスさながらに実況されていくのです。青年アメリカ兵に姿を変えたノブナガは、その村で「正義という大義名分(ストーリー)」を信じて残虐行為の限りを尽くしていきます。
このシーンの途中、轟音を背にした劇的なナレーションの後、舞台が暗転して背景のスクリーン全面に数百人の人名と思われる文字の羅列が映し出される場面がありました。その瞬間、殺された人々の個人性を目の当たりにし、戦争で行われる暴力の現実を突きつけられ、私は悲しさと悔しさと恐ろしさと驚きと怒りの全てに打ち震え、涙が止まらなくなりました。でも私は、次の瞬間には「こんな涙が何のためになる?」と思い、さらなる悔しさと情けなさで拳を硬く握り、涙を拭いました。

お前は涙を流して何を感傷的に自己完結しようとしてるんだ。気持ち悪い。
そんなんでわかったつもりか?そうじゃないだろう。
お前はこの、「見たくないものを見てしまった」という陰鬱な気持ちを
吐き出さずに受け止めるべきなんだ。
戦争という暴力を現実感を持って見つめて、苦しむべきなんだ。
それが私達の「未来」を皆殺しにしないために必要なことなんだ。


これが、私がこの作品から感じ取ったメッセージ。

喜劇的導入部から気軽に観客を作品世界に入り込ませ、何重にも張り巡らした比喩やダブルイメージによって巧みに作品の核心部に誘い込む、という形で作品世界とそのメッセージに深みを持たせる、という手法が特に見事。すばらしい作品でした。

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